成年後見制度利用支援事業による市長申立てとは、ご自身で後見人を探すことが難しい方や、費用面で困っている方などに対して、市町村長が代わりに家庭裁判所に後見開始の申立てを行う制度のことです。後見人の申し立ては、本人、子ども、市町村長(首長)のいずれかが多いです。
もし、ご自身やご家族が後見制度が必要と考えている場合は、一度、お住まいの市町村または行政書士や司法書士などにご相談ください。注意点としては、この制度は、すべての市町村で実施されているわけではなく、各市町村の条例によって、対象者や支援内容が異なります。
身寄りのない高齢者の場合などは、役所が実情を把握した上で市区町村長(首長)が申し立てることが可能になることが多いです。単身世帯が増加する中、その重要性は増しています。
なぜ市長が申立てをするのか?
- 身寄りのない方: 家族や親族がいない、または連絡が取れないなどの場合。
- 経済的な理由: 申立て費用や、後見人への報酬を支払うことが難しい場合。
- その他: 精神的な問題を抱えており、自分で手続きを行うことが困難な場合など。
収入や資産等の状況から、後見・保佐・補助開始の申立費用(鑑定費用)や、成年後見人等に対する報酬を負担することが困難な方に対して、助成を行っています。
成年後見制度の類型
成年後見制度は、認知症、知的障がい、精神障がいなどにより、判断能力が不十分となった方の権利や財産を保護し、支援する制度です。
成年後見制度には「後見」・「保佐」・「補助」の3つの類型があり、本人の判断能力の程度によって類型が決まります。
- 後見: 判断能力がほぼない状態。日常的な生活行為から、重要な財産管理まで、ほぼ全てを後見人が行います。
- 保佐: 判断能力がかなり低下している状態。重要な財産管理(不動産の売買など)は保佐人の同意が必要ですが、日常生活の多くは自分で行うことができます。
- 補助: 判断能力に不安はあるものの、日常生活はほぼ一人で送れる状態。特定の行為(大きな買い物など)についてのみ、補助人の同意が必要になります。
判断能力の評価
これらの段階は、どのようにして決まるのでしょうか?
- 医師の診断: 精神科医など、専門医が本人の状態を診察し、判断能力について評価します。
- 家庭裁判所の判断: 医師の診断書や、家族や周囲の人からの意見などを総合的に判断し、家庭裁判所が最終的にどの段階にするか決定します。
札幌市長申立ての対象者
札幌市では、「後見」と医師の診断を受けた方を市長申立ての対象としているほか、本人もしくは親族申立ての対象とならず、権利侵害の進行が懸念される事案に対して積極的 かつ迅速な介入ができるよう「保佐」もしくは「補助」と医師の診断を受けた方についても市長申立ての対象となっております。
【相談窓口】札幌市社会福祉協議会 自立支援課 成年後見推進係
〒060-0042 札幌市中央区大通西 19 丁目 1-1
札幌市社会福祉総合センター3 階
TEL011-624-7268
①後見
1.対象者の判断能力の程度が「後見」に該当すると医師の診断を受けている方 |
2.対象者の配偶者及び二親等以内の親族等による対象者保護の可能性がなく、当該親族等が対象者の審判請求を行う意思が無いなど、親族等の協力が得られない方。 |
3.多額の財産管理、介護保険サービスその他の高齢者福祉 サービス及び障害福祉サービス等の利用契約、施設入所の代理契約など、日常生活上の支援の必要性がある方。 |
②保佐
・代理権を付与する場合に、本人の同意が必要
・ 同意・取消権を付与もしくは追加する場合に、本人の同意が必要
1.対象者の判断能力の程度が「保佐」に該当すると医師の診断を受けている方 |
2.対象者の配偶者及び二親等以内の親族による対象者保護の可能性がなく、当該親族等が対象者の審判請求を行う意思が無いなど、親族等の協力が得られない方。 |
3.多額の財産管理、介護保険サービスその他の高齢者福祉 サービス及び障害福祉サービス等の利用契約、施設入所の代 理契約など、日常生活上の支援の必要性がある方。 |
4.協力者や支援者等に相談したが、本人申立てが困難な方又は虐待等により積極的かつ迅速な対応が求められる方 |
5.「代理行為目録」及び「同意を要する行為目録」の記載に同意が得られる方。 |
6.日常生活自立支援事業等を活用できず、成年後見制度利用支援事業の活用が必要であると判断される方。 |
③補助
・申立てにあたって、本人の同意が必要
・代理権を付与する場合に、本人の同意が必要
・同意・取消権を付与もしくは追加する場合に、本人の同意が必要
1.対象者の判断能力の程度が「補助」に該当すると医師の診断を受けている方 |
2.対象者の配偶者及び二親等以内の親族等による対象者保護の可能性がなく、当該親族等が対象者の審判請求を行う意思が無いなど、親族等の協力が得られない方。 |
3.多額の財産管理、介護保険サービスその他の高齢者福祉 サービス及び障害福祉サ-ビス等の利用契約、施設入所の代理契約など、日常生活上の支援の必要性がある方。 |
4.協力者や支援者等に相談したが本人申立てが困難な方又は虐待等により積極的かつ迅速な対応が求められる方 |
5.「代理行為目録」及び「同意行為目録」の記載に同意が 得られる方。 |
6.日常生活自立支援事業等を活用できず、成年後見制度利用支援事業の活用が必要であると判断される方。 |