エンディングノートの書き方

エンディングノートは、自分の死後に遺族が困らないように、また自分の希望や意志を伝えるための重要な手段です。ご自身が亡くなられる前に、遺産の分配から葬儀、健康状態、感謝の気持ちまで、幅広い内容を整理して、ご自身の意向を明確にすることができます。

エンディングノートの書き方に決まった方法はありませんが、下記項目を参考にして、自分にとって必要な情報を記入していきましょう。

エンディングノートを作成することによって、遺族に対する思いやりを示すことができ、また自分自身の気持ちの整理にも繋がります。また、エンディングノートを通じて、人生の最期に向けて心の整理をし、家族や大切な人々にご自身の意向を伝え、ご遺族の負担をできるだけ少なくすることにも役立ちます。

エンディングノートの内容

終活でまず取り組むのはエンディングノートの作成が一般的です。自分の意志が表明できなくなるかもしれない状況に備えて「記録しておく」ことが重要です。エンディングノートは、様々なタイプがありますが、内容はほぼ似通っております。主な内容は、連絡先(家族や友人など)、終末期の医療・介護の希望(延命処置など)、財産関係(遺言・遺贈・相続など)、葬儀・墓など、その他(ペットの処遇、パソコン・スマホなどのデータ処分など)です。エンディングノートは、遺言書と違い法的な強制力はなく備忘録のようなものですので、法的効力はありません。

遺言に関する情報

  • 遺産の分配方法
  • 財産目録
  • 具体的な希望

エンディングノートには、財産目録や遺産分割の希望を記載することが一般的です。遺言と異なり、エンディングノートは法的効力を持たないため、法的に有効な遺言書と異なる点を理解しておくことが重要です。しかし、家族や遺族にとっては、どこに何があるのか、どのように分けるのかといった情報を知ることは大きな助けとなります。特に財産の管理が複雑な場合(不動産、株式、貴金属など)、その詳細をノートにまとめておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

葬儀の希望

  • 葬儀の形式(宗教的儀式、無宗教、直葬など)
  • 葬儀の場所や参列者
  • 希望する音楽や演出
  • 葬儀後の法事やお墓のこと

エンディングノートに葬儀の希望を記載することは非常に重要です。葬儀の形態には、伝統的な仏教式やキリスト教式、無宗教式などさまざまな選択肢があります。遺族が自分の希望を知らずに決めてしまうことがないよう、どのような儀式を望むのか、葬儀の形式や参列者について明確に記しておくことが必要です。また、葬儀の費用に関する指示も含めておくと良いでしょう。

健康状態や介護に関する意向

  • 延命措置の希望
  • 介護が必要になった場合の方針
  • 臓器提供についての意向

高齢者がエンディングノートを作成する場合、健康状態や延命措置に関する意向を明確にしておくことができます。病気や事故などで自分が意識を失った場合に、どのような医療措置を受けたいか、また、望まない場合はそれを事前に記載しておくことができます。これにより、家族や医療関係者が迷うことなく、本人の意志に基づいた対応ができます。

個人的なメッセージや思い

  • 家族や友人への感謝の気持ち
  • 特別な伝えたいこと

エンディングノートには、家族や友人への感謝の気持ちや伝えたいメッセージを書くことができます。死後に残された家族にとって、こうしたメッセージは心の支えとなり、慰めにもなります。また、長年の友情や愛情を言葉にして残すことは、自分の人生を振り返る意味でも大きな意義があります。

日常的な事務手続き

  • 銀行口座、保険、年金、公共料金などの情報
  • 必要な書類やパスワード

日常的な事務手続きに必要な情報も、エンディングノートに含めておくべき項目の一つです。銀行口座や保険契約、年金の受給手続き、公共料金の支払い状況など、亡くなった後に遺族が困らないように情報を整理しておくことが大切です。特に、口座番号やパスワードなどは、アクセスできる方法を記しておくと、後の手続きがスムーズになります。

エンディングノートの書き方

エンディングノートの書き方について、具体的なステップと項目を詳しく説明します。エンディングノートは、自分の最期に向けての希望や想いを整理し、遺族が困らないようにするためのものです。以下のステップに従いながら、順番に記入していくとよいでしょう。

エンディングノートを手に入れる

まず最初に、エンディングノートを用意します。書店やインターネットで購入することができ、様々な種類があります。特に、ノートに記入する内容が項目ごとに整理されているものを選ぶと、書きやすく便利です。また、最近ではオンラインエンディングノートを利用する人も増えており、スマホやパソコンで管理することもできます。

基本情報の記入

エンディングノートの最初に記入するのは、あなたの基本的な情報です。この部分は、遺族があなたの身元確認をしやすくするために重要です。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • 電話番号
  • 緊急連絡先
  • 血液型
  • 医療情報(アレルギーや持病など)

この情報は、エンディングノートを使い始めた時点で確実に記入しておきましょう。

財産に関する情報

エンディングノートには、遺産や財産に関する情報を記入します。これは、遺族が遺産相続をスムーズに進めるための指針となります。

  • 財産目録
    現金や預金、保険、不動産、株式など、自分の所有している財産をリスト化します。それぞれの場所や管理方法(例えば、銀行名や口座番号、物件の所在など)も書き添えましょう。
  • 負債
    借金やローンなどがある場合は、それらも明記します。負債についても詳細な情報(借入先や返済状況など)を記載しておくと、遺族が処理しやすくなります。
  • 財産の分配希望
    財産をどのように分けてほしいか、家族や特定の人物に何を渡すかを書きます。これは法的効力を持つ遺言書と違い、あくまで参考として記入しますが、相続に関して混乱を防ぐためには役立ちます。

葬儀に関する希望

エンディングノートには、自分が望む葬儀についての希望を記載します。遺族が自分の希望に沿った形で葬儀を行えるようにするためです。

  • 葬儀の形式
    仏教式、キリスト教式、無宗教式など、葬儀のスタイルを決めます。また、宗教儀式が必要かどうか、無宗教でシンプルに行いたい場合なども記載します。
  • 葬儀の場所
    自宅で行いたいのか、葬儀場で行いたいのか、具体的な希望を記入します。
  • 参列者の希望
    自分の葬儀に誰に来てほしいか、誰を呼ばないようにするか、なども書きましょう。詳細に書くことで、家族が混乱しません。
  • 特別な希望
    例えば、故人が好きだった音楽を流してほしい、特定の花を使ってほしいなど、葬儀の演出についての希望も書きます。

医療・延命措置に関する意向

終末期に関する希望は、予め記載しておくと遺族が迷わず判断できます。自分が望む治療や延命措置についての意思を明確に記載しましょう。

  • 延命措置について
    例えば、「人工呼吸器の使用を希望しない」「胃ろうを希望しない」「安楽死を希望する」など、自分が望む医療行為について具体的に書きます。
  • 臓器提供の意向
    臓器移植を希望するか、あるいは臓器提供を希望しないか、その意向を記入します。
  • 安楽死・尊厳死
    尊厳死や安楽死を望む場合、その意志を明記しておくと良いでしょう。
  • 医療担当者への希望
    もし、特定の医師や病院で治療を受けたい場合、その情報も記載します。

日常的な事務手続きに関する情報

エンディングノートには、亡くなった後に必要な日常的な手続きに関する情報も記載します。これによって遺族が手続きに困らないようになります。

  • 銀行口座
    口座番号や銀行名、支店名、預金額などを記載しておきます。
  • 保険契約
    生命保険や医療保険、年金など、契約している保険の詳細情報を記載します。保険証券の場所も書いておくと、遺族がスムーズに手続きを進められます。
  • 公共料金の支払い状況
    光熱費や通信費など、月々の支払いが必要なものについて、契約内容や支払い方法、必要な情報を記載しておきます。
  • パスワードとログイン情報
    パソコンやスマホのロック解除方法、オンラインバンキングやSNSのアカウント情報など、重要なパスワードを記入しておきます。これにより、遺族が遺品整理をスムーズに行うことができます。

個人的なメッセージ

最後に、自分の気持ちや遺族へのメッセージを記入します。感謝の気持ちや愛情を伝えたい人々へのメッセージを書くことで、亡くなった後に心の整理がつくかもしれません。

  • 家族へのメッセージ
    家族や友人に対して、感謝や愛情の言葉を伝えます。
  • 伝えたい言葉
    伝え忘れていた大切なこと、後悔していること、感謝していることなど、思いを綴ります。

エンディングノートの更新

エンディングノートの内容は、定期的に更新することをしてください。
年齢を重ねるにつれて、考え方や希望が変わることもあることが多々あるからです。
特に財産や遺言に関する部分は、状況が変わる度に更新することで、より正確な情報を提供することができます。

エンディングノートの保管場所

エンディングノートを作成した後は、どこに保管するかを決める必要があります。
自分の家族などのご遺族が簡単にアクセスできる場所に保管しておくと良いでしょう。また、誰に伝えておくべきかも考慮しておくことが重要です。信頼できる人に伝えておくことで、万が一の際に遺族がノートにアクセスできるようになります。