見守り契約とは、主に高齢者や一人暮らしの方など、何かあった際に周囲に気づいてもらうのが難しい状況にある人が、行政書士などの専門家と契約し、定期的に安否確認や生活状況の確認などを行ってもらう契約のことです。
見守り契約で多いのが、成年後見制度の任意後見が始まるまでの間に、支援する専門家(行政書士等)が定期的に本人と面談や電話などで連絡を取ることにより、支援する専門家(行政書士等)が、本人の健康状態や生活状況、判断能力の衰えなどを確認するような場合です。成年後見制度・任意後見制度をスタートさせる時期の見極めを相談したり、判断するために効果的な契約であり、また、見守り契約をすることによって、定期的に意思疎通が可能になるため、信頼関係を継続させることができます。
見守り契約の内容
- 定期的な安否確認: 電話や訪問などで、本人の容態を確認します。
- 生活状況・判断能力の衰えの把握: 日常生活の様子や、健康状態の変化に気づきやすくなります。
- 財産管理や医療に関する相談: 必要に応じて、財産管理や医療に関する相談が可能です。
- 将来に備えた準備: 任意後見契約など、将来に備えた準備をサポートします。
1.見守り方法
・電話連絡と訪問面談の組み合わせとなります。
・当事務所では最低でも毎月1回は訪問面談をします。
2.契約期間
・自由に設定ができます(亡くなるまでも可能)。
・後見の開始によって契約が終了する場合もあります。
3.費用(税別)
・月に訪問1回 1万円〜
見守り契約でできないこと
見守り契約の目的は、専門家による定期的な見守りを受けることであり、見守り契約には対応できない場合もあります。
①身の回りの世話
買い物代行、病院付き添い、部屋の掃除などの日常生活の世話は、見守り契約では対応できません。
別途、生前委任契約などの契約が必要となります。
②判断能力の低下後
本人の判断能力が低下した後は、見守り契約では対応できません。
判断能力の低下が生じた場合は、成年後見制度(任意後見)などの法的手続きが必要となります。
そのため、判断能力がある間に任意後見契約を結んでおく必要があります。
③死後事務の対応
死後の手続きや遺産管理に関する事務は、見守り契約では対応できません。
死後事務に対応するためには、別途、死後事務委任契約を結んでおく必要があります。
見守り契約書(サンプル)
第1条(目的)
本見守り契約は、任意後見契約が効力を生ずるまでの 間 ( 以 下 、 「 本 契 約 期 間 」 と い い ま す 。)、 A さんは行政書士Bに対し、定期的な連絡により意思疎通を確保し、行政書士BはAさんに対し、定期的な連絡とA さんの自宅訪問・面談によってAさんの生活状況及 び健康状態を把握することにより、Aさんが地域社会において、安心して暮らすことができるよう見守ることを目的とします。
第2条(契約期間)
1 本見守り契約の期間は、本日から1か年とします。
2 契約期間満了日の1か月前までに、Aさん又は行政書士Bから相手方に対し、何らかの意思表示がないと きは、本見守り契約は同一条件で更に1か年更新されるものとし、以後も同様とします。
第3条(電話・訪問・面談等)
1 本契約期間中、行政書士Bは、原則として、月初めに電話でAさんに連絡するとともに、1か月に1回、 Aさんの自宅を訪問して、Aさんと面談するものとします。
2 行政書士Bによる具体的な自宅訪問日は、毎月○日とします。ただし、Aさんと行政書士Bが相談して、適宜変更することができるものとします。
3行政書士Bは、前項に定める面談日以外の日であって も、必要と認めた場合又はAさんの要請があった場合は、随時面談するものとします。AさんとBさんは、行政書士Bによる訪問と面談が、 第4条に定める事務を目的とするものであり、Aさんの身辺のお世話や世間話の相手、買い物の手伝い等をするためのものではないことを確認します。
第4条(見守り事務)
1行政書士Bは、前条に定める電話、自宅訪問、面談を 通じて様子の変化を見守り、Aさんが消費者トラブ ルに巻き込まれ、又は、介護・福祉サービス契約の 締結を必要とする状況や認知症の発症が疑われる状態と認めた場合は、関係機関に対応措置の要請を行うものとします。
2前項の場合、行政書士Bは、関係機関に対し、対応措置に必要と認める範囲で、Aさんの個人情報を含む 一切の情報を提供することができるものとします。
3Aさんが希望する場合は、行政書士BはAさんがあらかじめ指定した親族等の者に対し、第1項の対応措 置を要請するに至った経緯を連絡します。
4 第1項のほか、Bさんは、Aさんの身上面にも十 分配慮し、Aさんが加療を要する傷病を負ったこと を知ったときは、受診・入院等の手配をするものと します。
第5条(秘密保持)
Bさんは、前条第2項の場合を除き、Aさんの承諾を得ないで、本見守り契約を通じて知り得たAさ んの個人情報及び秘密等を開示し、又は漏洩しては なりません。
第6条(報酬)
1 Aさんは、行政書士Bに対し、本見守り契約(第3条第1項及び第4条第1項に定める定期的な訪問と面 談による行政書士Bの見守り行為)の報酬として、月額 金2万円(税別)を、行政書士BがAさんの自宅を訪問したときに支払うものとします。
2 第3条第3項の不定期の面談の報酬については、 その都度、AさんとBさんが協議して、別途報酬を支払うものとします。
3 本契約が月の途中で終了した場合でも、当該月の報酬は、月額を支払うものとします。
第7条(費用)
第4条第3項及び第4項に定める事務等に必要な費用は、Aさんが負担するものとします。
第8条(契約の変更)
本見守り契約を変更する契約は、公正証書によっ てするものとします。
第9条(契約の解除)
Aさん又はBさんは、いつでも本見守り契約を解除することができます。ただし、この解除は、公証人の認証を受けた書面によってするものとします。
第10条(契約の終了)
本見守り契約は、次の場合に終了します。 Aさん又はBさんが、死亡したとき。 Aさん又はBさんが、破産手続開始決定を受けたとき。 Bさんが後見開始の審判を受けたとき。 Aさんが法定後見開始の審判を受けたとき。 任意後見契約が解除されたとき。 任意後見監督人選任の審判が確定したとき。