身寄りがない方が終活ですべきこと

身寄りがない方にとって、終活は極めて重要です。

・遺族や親族がいない場合、自分の死後にどうなってしまうのか、誰が手続きを行うのか、どのような葬儀を行うのかなど、すべてを自分自身で決め、準備しなくてはならないからです。
・身寄りがない方の終活は、ご自身の死後に他人に負担・迷惑をかけないための準備でもあり、自分の意向をしっかりと伝えるための重要な作業になります。

この記事では、身寄りがない方が終活で行うべきことについて、具体的に解説していきます。


1. 財産の整理

身寄りがない方でも、自分の財産や資産がある場合、それをどう扱うか決めておくことは非常に大切です。死後の遺産分割や手続きがスムーズに行われるように、しっかりと整理しておく必要があります。

財産の整理

財産には、現金、預金、不動産、株式、生命保険、年金などがあります。まず最初に自分が所有する財産を整理し、どこに何があるのかを把握しておきます。具体的には以下の項目をリスト化しておくと良いでしょう。

  • 預金口座(銀行名、支店名、口座番号)
  • 不動産(住所、名義、所有権情報)
  • 株式や投資信託(証券会社、口座番号、資産の内容)
  • 生命保険(契約内容、保険会社、保険金額)
  • 年金や社会保障(年金の種類、受給資格、年金番号)
  • 個人財産(貴金属、絵画、貯金など)

2. 遺言書の作成

身寄りがない方にとって、遺産の分割を誰に託すか、どのように分けるかを決めることは重要です。

遺言書を作成しておくことで、法的効力があり、遺族や第三者が不明確な点を解決しやすくなります。遺言書には以下の内容を含めると良いでしょう。

  • 財産の分配方法
    財産を特定の人に譲る場合、誰に何を渡すか明確に記載します。身寄りがいない場合、財産を福祉団体や信頼できる友人に託すこともできます。
  • 代理人の指定
    自分が亡くなった後に遺産管理をしてくれる人物(信頼できる弁護士や専門家など)を指定しておくことができます。
  • 葬儀や埋葬の希望
    亡くなった後にどのような葬儀を行いたいか、どこに埋葬してほしいかという希望も書いておくことができます。

遺言書を作成する場合、法律的な要件を満たしていないと無効になることがあります。行政書士などの専門家に相談して正式な遺言を作成することが懸命です。


3. 葬儀・埋葬の希望

身寄りがない場合、葬儀や埋葬に関する希望をあらかじめ決めておくことが必要です。身寄りがいない方の場合、誰がどのように葬儀をどう行うか、埋葬場所はどうするかなどが決まらず、非常に困ることになります。

そのためにも、葬儀や埋葬も含めて一括して任せることができる死後事務委任契約を行政書士などの専門家に依頼しておきましょう。

死後事務委任契約とは、自分の死後に発生する様々な事務手続きを生前に依頼することができるものです。死後事務とは、具体的に以下の手続きを第三者に委任することができます。

  • 通夜や葬儀、埋葬
  • 病院や介護施設の費用の支払い
  • 公共料金の解約
  • 遺品整理・処分

葬儀の希望

葬儀の形式にはさまざまなものがあります。仏教式、キリスト教式、無宗教式など、自分がどのような葬儀を望むのかを明確にしておきましょう。以下のような項目について考えます。

  • 葬儀のスタイル
    伝統的な葬儀形式を希望するのか、シンプルで小規模な葬儀を望むのか、無宗教の葬儀にするのかなど、どのような儀式を行うかを考えます。
  • 葬儀の場所
    自宅で葬儀を行いたいのか、葬儀場で行いたいのか、また、火葬のみで済ませたいのか、その場所や方法も決めておきます。
  • 葬儀の費用
    自分で葬儀費用を支払う方法や、どのくらいの費用をかけたいかも検討しておくべきです。

埋葬の希望

埋葬場所についても考えておくことが重要です。墓地を購入するか、散骨を希望するか、火葬後の遺骨をどう扱うかを決めておきます。

  • 墓地を購入する場合
    墓地の購入や管理に関する手続きをあらかじめ確認し、自分が望む場所に墓を作ることを考えます。
  • 散骨やその他の方法
    自分が希望する場合、遺骨を海や山に散骨したり、記念樹の下に埋葬する方法もあります。これらについても希望を記しておくと良いでしょう。

4. 身元保証人を決める

身寄りがない場合、病院に入院したり、公共機関で手続きが必要になった際に「身元保証人」を求められることがあります。身元保証人は、もし自分が入院したり、何らかの理由で身動きが取れなくなった際に、その責任を負ってくれる人物です。

身元保証人は、自分の信頼できる友人や知人、または専門のサービス(身元保証会社)に頼むことができます。身元保証サービスを利用する場合、事前に契約を交わしておき、どのような対応をしてもらえるか、契約内容を確認しておきましょう。


5. 遺品整理の準備

遺品整理は、亡くなった後に残された物品を整理する作業です。身寄りがない場合、この作業を誰かに頼む必要があるため、事前に整理しておくことが大切です。

  • 重要書類の整理
    銀行の通帳、保険証書、契約書、年金の証書など、重要な書類を整理して、どこに保管しているかを伝えておきます。
  • 貴重品や個人情報の管理
    貴金属や価値のある物品についても、どこに保管しているのかを記録しておきます。また、パソコンやスマホのパスワード、SNSのアカウント情報など、デジタルデータについても整理が必要です。

6. 社会的な手続きや支援を受ける方法

身寄りがない方は、社会的な支援を受けることも選択肢の一つです。日本では、身寄りのない方を支援するための公的サービスや団体が存在します。

  • 福祉サービスの利用
    生活保護や介護保険、健康保険などの社会保障制度を活用するため、必要な手続きについて調べ、準備をしておきます。
  • 民間の支援団体の利用
    身寄りがない場合、民間の支援団体やNPO法人がサポートを行っていることもあります。葬儀の手配や遺品整理、生活支援などを行っている団体もあるので、事前に調べておくと良いでしょう。