相続した田舎の不動産(建物や土地等)を、どのように処分したらいいか悩んでいませんか?
・相続で不動産や土地を取得したものの、田舎の不動産なので利用する予定がない
・利用する予定がないのに、固定資産税がかかって経済的な負担が大きい
いわゆる「負動産」です。「負動産」は、維持費がかかり、売却が難しく、所有していることで逆に損失が生じるような不動産のことです。相続などで思わぬ形で負動産を所有することになるケースは少なくありません。
田舎の不動産は、買い手が見つからないため売却が難しいので、売却以外にどのような選択肢があるのかを検討していくことが必要です。この記事では、相続した田舎の不動産(建物や土地等)の処分方法について、様々な選択肢を詳しく解説していきます。
売却する
まずは、最も一般的な処分方法である売却を検討します。地元の不動産会社等に仲介を依頼し、市場価格で売却します。しかしながら、田舎の不動産は売却できないことが少なくありません。主な理由をいくつか挙げます。
①需要の低さ(買いたい人がいない)
田舎地域は都市部への人口流出が進んでおり、住宅の需要自体が減少しています。若年層は都市部での就職や学業を優先するため、田舎で住宅を求める人が少ない傾向にあります。また、高齢化が進んでいる地域では、住み替えや資産の処分を検討する人が少なく、市場に出る物件が少ないことがあります。
②築年数が古い
古民家や築年数の古い物件は、リフォーム費用がかかるため、購入を躊躇する人が多いです。
特に木造の戸建てが多く、大規模修繕をする必要があることが殆どです。
③インフラが整っていない
都市部と比べて、水道、ガス、インターネットなどのインフラが整備されていない物件は、導入費用だけでなく修繕費用も高額になります。
④アクセスが悪い
電車やバスの減少・廃線により、最寄りの駅やバス停から遠くなり、車がないと生活しにくい立地は、利便性が低く、魅力を感じにくい場合があります。
⑤土地が広すぎる
広大な土地は、都会暮らしの人にとっては一見魅力に感じますが、土地が広いと維持管理が大変でなく、維持費の負担も大きくなります。
親族・隣人に贈与する
親族や隣人に無償で譲渡する方法です。売却同様に、欲しい人がいれば贈与も検討しましょう。田舎の土地は、受け取る側の負担も考慮する必要があります。
自治体等に寄付する
自治体やNPO法人などに無償で譲渡する方法です。
売却や贈与の受け手がいないときは、自治体に相談するのも手です。
しかしながら、すべての土地を受け入れてくれるのではなく、使う用途がある不動産のみに限定されることが少なくありません。寄付を受けてくれるのが難しいことが多いです。
国に土地を返還する
令和5年4月から開始した新しい制度「相続土地国庫帰属制度」の利用して、国に土地を返還する方法です。相続又は遺贈によって宅地や田畑、森林などの土地の所有権を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に返還することができます。
・建物がある場合には、解体して更地にする必要があります。
・申請後に、返還可か不可かの審査があり、認められた場合にのみ返還できます。
相続した田舎の不動産・土地の処分でお悩みの方は、この制度が一つの解決策になるかもしれません。しかしながら、個々の状況によって最適な解決策は異なりますので、まずは、行政書士等の専門家にご相談し、ご自身の状況に合った方法を見つけることをおすすめします。
相続放棄
相続時に、相続を放棄することで、土地の所有権を放棄する方法です。
土地に関する一切の責任から解放されますが、相続財産全体を放棄することになりますので、すべての相続財産を得ることができなくなります。
相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てなければなりません。
負動産を処分するメリット
負動産を処分することで、以下のメリットが期待できます。
- 経済的な負担の軽減: 固定資産税などの維持費が不要になります。
- 精神的な負担の軽減: 不動産に関する悩みから解放されます。
- 相続手続きの円滑化: 相続手続きがスムーズに進みます。
- 他の資産への有効活用: 売却益を他の資産に投資することができます。
負動産を処分する際のポイント
負動産の処分は、様々な要因を考慮する必要があるため、一人で悩まず、専門家にご相談することをおすすめします。
①複数の選択肢を比較検討する
それぞれの処分方法のメリット・デメリットを比較し、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。
②時間的な余裕を持つ
手続きには時間がかかる場合があるため、余裕を持って進めましょう。
③焦らずに決断する
焦って決断せず、慎重に検討することが大切です。
※まずは現状把握をしましょう!
- 不動産の現状を把握する: 土地の広さ、形状、周辺環境などを把握しましょう。
- 固定資産税の評価額を確認する: 固定資産税の評価額は、処分方法を選ぶ際の参考になります。
- 相続人の状況を確認する: 相続人全員の同意が必要な場合もあります。
- 不動産の所在地: どのような地域か
- 不動産の種類: 戸建て、土地、マンションなど
- 不動産の状況: 築年数、広さ、リフォームの有無など
- 売却の目的: 現金化、税金対策など
これらの情報に基づいて、より具体的なアドバイスをすることができます。