【放デイ】専門的支援実施加算計画書とは?

放課後デイの「専門的支援実施計画書」とは、専門的支援を実施する上で、理学療法士・心理士等が作成する個別支援計画書のことです。この記事では、専門的支援実施計画書について、具体的にどのようなことを記載すればよいかまとめました。

専門的支援【実施】加算は、基準人員を満たしていれば、専門的支援『体制』加算の対象外であっても、理学療法士等※が、例えば週1日の短時間パートであっても、専門的支援を30分以上実施すれば専門的支援【実施】加算を算定することが可能です。但し、専門的支援を実施する前に、理学療法士等の専門家が「専門的支援実施計画書」を作成して保護者の同意を得る必要があります。

「専門的支援実施計画書」

専門的支援実施加算の算定にあたっては、児童発達支援管理責任者が作成した個別支援計画を踏まえ、支援を提供する理学療法士等の専門職が専門的支援実施計画書」を障害児ごとに作成することが必要となります。専門的支援実施の個別支援計画は、児童発達支援管理責任者が作成した個別支援計画とは別に作成し、あらかじめ給付決定保護者の同意を得ることが必要になります。

計画的に質の高い専門的支援を提供する上で、子どもにとって有効な計画とすることが求められています。例えば、障害特性を踏まえた配慮事項について記載する。個別支援計画の支援との関連性を記載する。支援の改善が図れるような構造とするなどが考えられます。

専門的支援実施計画書」には、以下の項目を記載することが求められています。

・理学療法士等によるアセスメントの結果
・5領域との関係の中で、特に支援を要する領域
・専門的な支援を行うことで、目指すべき達成目標
・目標を達成するために行う具体的な支援の内容
・支援の実施方法 
・ニーズに応じた専門的支援に必要であると考えられる項目

※複数の理学療法士等で専門的支援実施をする場合は、複数の理学療法士等がそれぞれ作成する必要はなく、子ども1人につき1つの専門的支援実施計画の作成して複数名の署名で事足ります。※指定権者により異なる解釈がありえます。

理学療法士等とは

理学療法士等とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保育士、児童指導員、心理指導担当職員又は視覚障害児支援担当職員。保育士は資格取得から5年以上、児童指導員は任用後から5年以上児童福祉事業に従事したものになります。

児童支援員等加配加算とは異なり、資格取得前の経験年数、特別支援の経験年数は含まれないことに留意が必要です。

心理担当職員については、指定権者により解釈が異なることが少なくありません。以下に概要を記載しますが、最終的には指定権者に確認をとることが肝要です。

【心理担当職員の定義】(平成 24 年厚生労働省告示)
①大学・大学院において心理学を専修する学科・研究科の卒業者であって、
②個人及び集団心理療法の技術を有する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者

令和3年度の報酬改定以降は、この告示に基づく運営が徹底されています。しかしながら、この告示の②の記載ぶりでは、解釈の余地が大きいため、指定権者により解釈が異なっているのが現状です。

条件①かつ②を満たすことが必要なので①を満たしていも、②を満たさなければ心理指導担当職員として認められません。

条件①大学・大学院において心理学を専修する学科・研究科の卒業者

 ・心理学部、心理学科、□□心理学科を卒業→○
 ・行動科学科、人間システム科学科など心理学専修とみなせる学科→△(照会必要)
 ・心理学の単位取得のみ→×
 (心理学の単位を複数取っていても心理学専修でなければ認められない)

条件②個人及び集団心理療法の技術を有する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者

条件①よりも解釈の余地が多く、条件②を具体的に示していない指定権者が多いため、指定権者への確認が必要になります。

②の条件を具体的に求めている指定権者(厳しい解釈運用)の例
 【東京都】
  公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士
 【大阪府】
  心理に関する専門的な技術をもって実施する企業等での個別相談の経験、
  講習や講義の講師としての経験を、在籍していた企業等が発行する証明書により確認
 【千葉県】
  学歴は問わず、公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士

【ご参考】専門的支援実施加算の算定要件

・理学療法士等を配置する(単なる配置で可)
 常勤でなくても可、基準人員・加配人員・専門体制加算人員でも可
 専門支援実施時間(30分以上)のみの人員でも可
理学療法士等が専門性に基づく評価・計画に則った5領域のうち特定又は複数の領域に重点を置いた支援を行うための専門的支援実施計画を作成し、当該計画に基づき支援を行う。
・専門的支援時間は30分以上(同日における当該障害児の支援時間の全てとする必要はない)
・計画の作成・見直しに当たって、対象児及び保護者に対し説明するとともに同意を得る
・対象児ごとの支援記録を作成(アセスメントの結果 、5領域との関係の中で特に支援を要する領域、目指すべき達成目標、目標を達成するために行う具体的な支援の内容・実施方法など)
・専門的支援については、個別での実施を基本としつつ、個々のニーズを踏まえた支援を確保した上で、小集団(5名程度まで)による実施や、理学療法士等の専門職とは別の職員を配置した上で、小集団の
組み合わせ(2の小集団まで)による実施も可能。

単位数
150単位/回(30分以上)

■限度回数

【児発】 月利用11日以下 4回 、12日以上 6回

【放デイ】月利用5日以下2回、 6日〜11日 4回、12日以上 6回

※個別での実施が基本。個々のニーズを踏まえた支援を確保した上で、小集団(5名程度まで)又は基準人員を配置した上での 小集団(2まで)の組み合わせによる実施も可)

こども家庭庁Q&A

Q&A VOL.1(令和6年3月29日付事務連絡)
問 16 専門的支援実施計画について、具体的にどのような項目を記載することが求められるのか。また、個別支援計画と一体的に作成することは可能か。

(答)
○ 専門的支援実施加算の算定にあたっては、個別支援計画を踏まえ、支援を提供する専門職が専門的支援実施計画を障害児ごとに作成することが必要となるが、計画には、以下の項目を記載することを想定している。
・当該専門職によるアセスメントの結果
・5領域との関係の中で、特に支援を要する領域
・専門的な支援を行うことで、目指すべき達成目標
・目標を達成するために行う具体的な支援の内容
・支援の実施方法 等
上記の項目に限らず、ニーズに応じた専門的支援に必要であると考えられる項目について記載するとともに、計画的に質の高い専門的支援を提供する上で有効な計画とすることが求められる(例えば、障害
特性を踏まえた配慮事項について記載する、個別支援計画の支援との関連性を記載する、支援の改善が図れるような構造とするなど)。
〇 なお、専門的支援実施計画は、個別支援計画とは別に作成し、あらかじめ給付決定保護者の同意を得ることが必要である。

Q&A VOL.1(令和6年3月29日付事務連絡)
問17 専門的支援は、1対1の個別支援により実施することが必要か。また、理学療法士等が対象児の支援時間を通じて直接支援を行うことが必要か。

(答)
○ 専門的支援については、個別での実施を基本としつつ、個々のニーズを踏まえた支援を確保した上で、小集団(5名程度まで)による実施や、理学療法士等の専門職とは別の職員を配置した上で、小集団の
組み合わせ(2の小集団まで)による実施も可能とする。
〇 専門的支援の提供時間は、同日における当該障害児に対する支援時 間の全てとする必要はないが、少なくとも30分以上を確保すること。

Q&A VOL.3(令和6年5月2日付事務連絡)
問9 専門的支援実施加算等の加算の算定に当たって、配置すべき従業者に常勤換算による配置が求められていない場合において、外部から 派遣された者によりこれらの加算の算定に要する所定の支援を行っ た場合であっても、これらの加算を算定できるか。

(答)
○ 専門的支援実施加算等の加算の算定に当たって配置すべき従業者とは、事業者と雇用契約を締結して事業所に配置されているもの等 を指し、例えば他の法人等から専門職員による訪問を受けるなど、外部 から派遣された者により当該加算の算定に要する所定の支援を行った場合には、当該加算を算定できない。

Q&A VOL.4(令和6年5月24日付事務連絡)
問1 児童発達支援管理責任者が欠如している状態において、専門的支援実施加算の算定は可能か。

(答)
○ 算定は不可である。

Q&A VOL.5(令和6年6月6日付事務連絡)
問4 専門的支援実施加算等※で示されている1月当たりの算定回数の上限は、事業所間で通算されず、事業所ごとに上限回数をカウントしてよいか。
※専門的支援実施加算、家族支援加算、子育てサポート加算、欠席時対応加算、集中的支援加算、入浴支援加算、関係機関連携加算、事業所間連携加算、保育・教育等移行支援加算、自立サポート加算、多職種連携加算

(答)
○ お見込みのとおり。
○ ただし、多機能型事業所において、同一の児に複数のサービスによる支援を行う場合、家族支援加算は、各サービスを合計して上限回数をカウントすること。多機能型事業所において、同一の児童に係る関係機関連携加算の算定は各サービスを合計して上限回数をカウントすることに留意すること。