令和6年度より新設された専門的支援実施加算は、基準人員を満たしていれば、専門的支援体制加算の対象外であっても、理学療法士等の方が、専門的支援を30分以上実施すれば、専門的支援実施加算を算定することが可能となりました。
この記事では、専門的支援実施加算の算定要件と専門的支援実施計画書(個別支援計画)の記載必要項目等について記載しています。なお、児発管が作成する個別支援計画書の作成ポイント・書き方は→こちら
専門的支援実施加算の算定要件
・理学療法士等を配置する(単なる配置で可)
常勤でなくても可、基準人員・加配人員・専門体制加算人員でも可
専門支援実施時間(30分以上)のみの人員でも可
・理学療法士等が専門性に基づく評価・計画に則った5領域のうち特定又は複数の領域に重点を置いた支援を行うための専門的支援実施計画を作成し、当該計画に基づき支援を行う。
・専門的支援時間は30分以上(同日における当該障害児の支援時間の全てとする必要はない)
・計画の作成・見直しに当たって、対象児及び保護者に対し説明するとともに同意を得る
・対象児ごとの支援記録を作成(アセスメントの結果 、5領域との関係の中で特に支援を要する領域、目指すべき達成目標、目標を達成するために行う具体的な支援の内容・実施方法など)
・専門的支援については、個別での実施を基本としつつ、個々のニーズを踏まえた支援を確保した上で、小集団(5名程度まで)による実施や、理学療法士等の専門職とは別の職員を配置した上で、小集団の
組み合わせ(2の小集団まで)による実施も可能。
単位数 |
150単位/回(30分以上) |
■限度回数
【児発】 月利用11日以下 4回 、12日以上 6回
【放デイ】月利用5日以下2回、 6日〜11日 4回、12日以上 6回
※個別での実施が基本。個々のニーズを踏まえた支援を確保した上で、小集団(5名程度まで)又は基準人員を配置した上での 小集団(2まで)の組み合わせによる実施も可)
専門的支援実施の個別支援計画
専門的支援を実施する前に、「専門的支援実施計画」を作成して保護者の同意を得る必要があります。この記事では、「専門的支援実施計画」について、具体的にどのような項目を記載することが求められるのかについて記載いたしました。
専門的支援実施加算の算定にあたっては、児童発達支援管理責任者が作成した個別支援計画を踏まえ、支援を提供する理学療法士等の専門職が「専門的支援実施計画」を障害児ごとに作成することが必要となります。専門的支援実施の個別支援計画は、児童発達支援管理責任者が作成した個別支援計画とは別に作成し、あらかじめ給付決定保護者の同意を得ることが必要になります。
計画的に質の高い専門的支援を提供する上で、子どもにとって有効な計画とすることが求められています。例えば、障害特性を踏まえた配慮事項について記載する。個別支援計画の支援との関連性を記載する。支援の改善が図れるような構造とするなどが考えられます。
「専門的支援実施計画」には、以下の項目を記載することが求められています。
・理学療法士等によるアセスメントの結果
・5領域との関係の中で、特に支援を要する領域
・専門的な支援を行うことで、目指すべき達成目標
・目標を達成するために行う具体的な支援の内容
・支援の実施方法
・ニーズに応じた専門的支援に必要であると考えられる項目
※複数の理学療法士等で専門的支援実施をする場合は、複数の理学療法士等がそれぞれ作成する必要はなく、子ども1人につき1つの専門的支援実施計画の作成して複数名の署名で事足りると考えられています。指定権者により異なる解釈がありえますので指定権者にご確認ください。
【ご参考】理学療法士等とは
理学療法士等とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保育士、児童指導員、心理担当職員 又は視覚障害児支援担当職員。保育士は資格取得から5年以上、児童指導員は任用後から5年以上児童福祉事業に従事したものになります。児童支援員等加配加算とは異なり資格取得前・特別支援の経験年数は含まれません。
【ご参考】心理指導員(心理担当職員)とは
心理指導担当職員は、心理学の専門的な知識を用いて、障がいなど困り感を抱える子どもの支援や助言をします。心理担当職員は国家資格の「公認心理師」以外は明確ではありません。民間資格でも「臨床心理士」は大学院・心理学修了が前提の資格なので概ね認められていますが、大学の心理学専修を証する「認定心理士」だけでは認めない自治体も多々ありますので照会が必要です。
【心理担当職員の定義】(平成 24 年厚生労働省告示)
①大学・大学院において心理学を専修する学科・研究科の卒業者であって、
②個人及び集団心理療法の技術を有する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者
令和3年度の報酬改定以降は、この告示に基づく運営が徹底されています。しかしながらこの告示の記載ぶりでは、解釈の余地が大きいため、指定権者により解釈が異なることに留意が必要です。