【札幌市】一人暮らしの終活・相続

札幌市で一人暮らしをしている方々にとって、相続や終活は避けて通れない重要な問題です。
特に、高齢化が進む中で認知症のリスクは高まっており、事前に対策を講じることが不可欠です。
慶應義塾大学の研究によると、日本人の死因のトップは認知症となっており、現在判断能力がしっかりしている高齢者の方にとっても認知症の事前対策は避けることができない問題となっています。

札幌市の人口は約200万人のうち高齢者の方は約40万人、うち一人暮らしの方は約15万人であり、高齢者の方の約4割は、高齢者の一人暮らしの方です。政令指定都市の中でも、高齢者の一人暮らしの方が最も高い都市となっています。

本記事では、札幌市における一人暮らしの方々が、安心して自分らしい最期を迎えるために、相続・終活の進め方と認知症対策について、成年後見制度の活用を含めて詳しく解説します。

一人暮らしの相続問題の現状と対策

近年、札幌市においても一人暮らしの高齢者が増加しており、相続問題は深刻化しています。特に、家族との関係が希薄な場合や、相続人が遠方に住んでいる場合、相続手続きや遺言書作成が遅れるケースが少なくありません。

相続人がいない場合の対策

相続人がいない場合、遺産は最終的に国庫に帰属します。しかし、札幌市内で家族がいない、または疎遠になっている方々でも、親しい友人や地域の方々との関係が重要な役割を果たすことがあります。

  • 遺言書の作成
    相続人がいない場合でも、遺言書を作成することで、特定の個人や団体に遺産を寄付することができます。
  • 成年後見制度任意後見制度)の活用
    将来の認知症発症などに備え、判断能力があるうちに、信頼できる人または行政書士などの専門家と任意後見契約を結んでおくことで、認知症後の財産管理や身上監護を任せることができます。
    将来の介護や医療に関する契約、施設への入所手続きなどを、任意後見人に任せることができます。
  • 死後事務委任契約
    死後の事務手続き(葬儀、納骨、遺品整理など)を信頼できる人または行政書士などの専門家に委任する契約を結ぶことは、頼る方が近くにいない高齢者一人暮らしの方には必要不可欠です。

相続人や身近に頼る人がいない場合、認知症後の対応や財産管理、死後の遺産分割や遺品処分、事務手続きについて、行政書士などの専門家と連携して準備を進めることが重要です。

事前に準備しておくべきこと

一人暮らしの方が、安心して最期を迎えるために事前に準備しておくべきことは以下の通りです。

リビングウィル(生前の意思表明書)の作成
延命治療の希望、尊厳死の希望など、終末期の医療について自身の意志を表明するリビングウィルを作成しましょう。

エンディングノートの活用
自身の情報、希望、メッセージなどをエンディングノートにまとめておくことで、家族や関係者がスムーズに対応できます。エンディングノートの構成は、①連絡先(家族や友人など)、②終末期の医療・介護の希望(延命処置など)、③財産関係(遺言・遺贈・相続など)、④葬儀・墓など、⑤その他(ペットの処遇、パソコン・スマホなどのデータ処分など)です。エンディングノートは、遺言書と違い法的な強制力はなく備忘録のようなものですので、法的効力はありません。

財産目録の作成
預貯金、不動産、有価証券、保険、年金など、自身の財産を一覧にした財産目録を作成しておくと、相続手続きがスムーズに進みます。

遺言書の作成
遺言書を作成することで、自身の財産を誰にどのように相続させるかを明確にできます。
札幌市内では、行政書士などの専門家に相談して遺言書を作成することが可能です。

遺産分割方法の明確化
自宅や預貯金、有価証券などの遺産をどのように分割するかを事前に決めておくことが重要です。札幌市内で不動産を所有している場合は、不動産の名義変更や売却についても早めに専門家に相談しましょう。

任意後見契約における医療・介護に関する条項の設定
任意後見契約において、医療や介護に関する具体的な条項を設定することで、自身の希望に沿った支援を受けることができます。介護が必要になった場合に備えて、どのようなサービスを受けたいか、誰に介護を頼みたいかなどを具体的に記したケアプランも作成しましょう。

信託契約の活用の検討
自身の認知症、死後などの財産管理や遺産分割をスムーズにできるように、信託契約(家族信託)を利用することも有効です。信託契約を結ぶことで、成年後見制度や遺言書よりも柔軟に財産管理を行うことができます。

認知症の事前対策と発症後の対応

認知症は高齢者にとって大きな不安要素であり、事前対策を講じることで、生活の質を維持しやすくなります。

認知症の予防と早期発見

認知症予防には、日常生活での脳の活性化が重要です。

  • 脳を活性化する活動
    読書、パズル、ゲーム、趣味活動、地域活動への参加など人とのコミュニケーションにより、脳を活性化する活動を積極的に行いましょう。
  • 認知症チェックの活用
    定期的に認知症チェックを行い、早期発見に努めましょう。札幌市では、地域包括支援センターなどで認知症チェックを受けることができます。
  • 生活習慣の改善
    バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、生活習慣を改善することで、認知症のリスクを軽減できます。

認知症発症後の対策

認知症が発症した場合、適切な支援を受けるために以下の対策が有効です。

  • 成年後見制度の利用
    任意後見は、判断能力があるうちに自らの意思で「後見人」を選んで契約する制度です。
    一方、法定後見は、判断能力が低下した後に「裁判所が支援する人を選ぶ」制度です。
    任意後見制度で事前に契約をしておくことで、周りの方の負担も軽減できますので、早めに検討しておきましょう。
  • 地域との連携
    札幌市では、認知症高齢者を支援するために、地域住民や福祉団体が連携しています。地域包括支援センターを活用し、地域で安心して暮らせる環境を整えましょう。
  • 認知症対応型グループホーム・施設の利用
    認知症の進行により自宅での生活が困難になった場合、認知症対応型グループホーム・施設の利用を検討しましょう。判断能力がなくなった場合には、後見人が手続きを行うことができますので、一人暮らしの方にとっては後見人が必要不可欠なものとなることが少なくありません。

まとめ

札幌市で一人暮らしをしている方々が、安心して自分らしい最期を迎えるためには、相続・終活、認知症対策の早期準備が不可欠です。遺言書や信託契約を活用した財産整理、リビングウィルやエンディングノートによる意志表示、そして成年後見制度、特に任意後見制度の活用、認知症の予防と発症後の対策を講じることで、安心して生活を送ることができます。

終活を進める際には、札幌市内の各種サポートを積極的に活用し、専門家の意見を取り入れながら、より良い生活を送るための準備を進めましょう。